―本誌ライターの小山内さんによる、コラム「オタク学」。「オタク的な分野×社会学」というテーマのコラムです。―
本誌の元メイド喫茶オーナーによる「脱・非モテ講座」では、ファッションからコミュニケーションまで幅広く、「脱・非モテ」について論じている。悩みはいろいろ寄せられているが、なかでも「ファッション」の悩みは、多くの非モテ達にとって共通しているだろう。
はてな匿名ダイアリーに、「オタクの友人が結婚して知った衝撃」というエントリが投稿されている。
自分と同じ、オタクで非モテだと思っていた友人が結婚したとき、衝撃の事実が幾つも浮かび上がってきたというのだ。
その事実は、以下のようなものだった。。
・自分が知らないだけで、友人はちゃんとした恋愛をしていた事。
・自分と似たような服装だと思っていた友人の服装は、一般的に見てそこそこお洒落だという事。
・美容院へ行く上、後頭部にパーマをかけているらしい事(これが一番驚いた)。
そして、以下のように素直に心情を吐露している。
「だって友人は自分と同じラインにいたはず。どこでスタートが遅れたのか、元々コースが違ったのか。」
◆「オタク/リア充二元論」から来る「非オシャレ・スパイラル」
一般的には、
「オタクはアニメやゲーム、フィギュアなどのオタク趣味に時間・金銭・労力を投資するが、一般人はその分のリソースをファッションや異性とのコミュニケーションに向けて使うため、両者のオシャレ度に差がついてしまう」
と言われている。いわゆる「オタク/リア充、二元論」である。
五年前に出版された改訂前の『脱オタクファッションガイド』では、それに加えてもっと詳細な分析を行っている。
・オタクは大学などでも同じような仲間とつるむため、「その格好ダサい」と指摘されることがない。
・「社会人なら一日中スーツを着るので問題ない」という主要もあるが、私服が垢抜けない以上、何を着ても垢抜けない。
・リア充への劣等感や、逆にオタクとしての優越感から、「チャラチャラした格好」を敵視し、「周りに流されない個性が自分にはある!」と勘違いしてしまう。
といった具合だ。これら多数の要因が絡み合って、オタクは年をとるに連れてますます「オシャレ」や「恋愛」から遠ざかっている。まさに日本が今おかれているデフレスパイラルと同じ、「非オシャレ・スパイラル」だ。
◆脱オタが無理なら、ファッションオタクになればいいじゃない
「オタク/リア充二元論」の構造を世に広めた第一人者とも言える、作家・評論家の本田透さんは、著書『電波男』の中で、「デートには雑誌に載る様なイタリア料理店に連れて行って欲しい~」というような願望を持つ「負け犬女」を批判している。
本田さんは彼女たちが「雑誌に載るような」という条件をつけることに対し憤慨しているのだ。市場に流通する、トレンディドラマなどの影響からくる「恋愛至上主義」への厳しい批判で知られる本田さんならではの主張だ。
ただ、その後で「その女が生粋の“イタリア料理オタク“なら認める!」という意味のことも書いている。
つまり目指すべきは、「「脱オタク」・ファッション」ではなく、「脱・「オタクファッション」」なのだ。その点でも一昨年発売された『脱オタクファッションガイド【改】』は、内容も新しく非常に参考になる好著だ。
オタクをやめる必要はない。ただ、もう少し周囲に目を向ける寛容さと、ファッション雑誌に目を通すくらいからの、ユルい努力からで問題ないのだ。
※画像:Amazon、(http://www.oxiare.net/)
(小山内)
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(参考リンク)
オタクの友人が結婚して知った衝撃
*脱オタクファッションガイド*
小山内 聡(おさない そう)
漫画とアニメとゲームが好きで軍事オタクの文系大学生。趣味はノンフィクションを読むこと。はてなダイアリー『日の丸海賊団』で書評を書いています。
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